日本を恐怖に陥れたロシア艦隊の日本沿岸域襲撃(7)

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日露戦争
ウラジオストク巡洋艦隊による通商破壊戦:1904年2〜7月

元山事件

1904年6月30日の早朝、ウラジオストク艦隊の装甲巡洋艦3隻、仮装巡洋艦1隻、魚雷艇8隻が突如として元山沖に出現した。ロシア魚雷艇は元山港に侵入し市街地を砲撃すると共に停泊中の船に魚雷を発射し2隻の日本商船を撃沈した。仮装巡洋艦と魚雷艇はウラジオストクに向けて帰投したが、ヴェゾウラトフ中将が指揮する3隻の装甲巡洋艦は南下を開始した。

第二艦隊司令部が午前7時30分に急報に接すると、上村中将は直ちにウラジオストク艦隊を迎撃すべく第二艦隊に出動を命じた。

その日の夕方18時40分に、上村司令官と幕僚達は22000mの距離にウラジオストク艦隊を発見した。同時にヴェゾウラトフ中将も第二艦隊を発見し、直ちにウラジオストクへ反転帰投を下命した。上村中将座上の第二艦隊旗艦巡洋艦「出雲」は20ノットの全速でロシア巡洋艦戦隊を追跡した。他の巡洋艦と魚雷艇もそれぞれ全速力でもって追尾を開始した。しかしながら、第二艦隊はウラジオストク艦隊に追いつくことはできず、三隻の装甲巡洋艦はウラジオストクに無事帰還を果たした。

(図)元山事件航跡

参考文献:

  • Jane, Fred T. 1904 (1984 reprinted). The Imperial Japanese Navy. London: Conway Maritime Press.
  • 海軍軍令部編纂、明治三十七八年海戦史:第一巻、1910年、水交社蔵版・春陽堂
  • 海軍軍令部編纂、明治三十七八年海戦史:第二巻、1910年、水交社蔵版・春陽堂
  • 海軍軍令部編纂、明治三十七八年海戦史:第三巻、1911年、水交社蔵版・春陽堂
  • Mahan, Alfred Thayer. 1941. Mahan on Naval Warfare. edited by Allan Westcott. New York: Dover Publications.
  • 佐藤市郎著、海軍五十年史、1943年、鱒書房
  • 外山三郎著、日露海戦新史、1987年、東京出版
  • Evans, David C. & Mark R. Peattie. 1997. Kaigun: Strategy, Tactics, and Technology in the Imperial Japanese Navy 1887—1941. Anapolis, Maryland: Naval Institute Press.

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本コラムの著者:“征西府”主幹 Centre for Navalist Studies 北村淳 Ph.D.

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