尖閣諸島で中国海警局巡視船が日本漁船を駆逐!? [2024/12/07]

12月5日午前5時前、中国海警局巡視船2隻が尖閣諸島周辺日本領海内に侵入した。中国巡視船は、日本漁船に接近するなど14時間にわたって日本領海内を遊弋したのち5日19時過ぎに日本領海から退去した。

中国海警局巡視船を始めとする中国公船による尖閣諸島周辺の日本領海への侵入はここ数年間にわたって頻発している。そのため日本側の報道機関にとっては、中国公船の日本領海侵入は日常的出来事に近い状態となってしまい、国家主権が侵害されているというニュアンスでの報道はなされなくなってしまっている。

『沖縄 尖閣沖 中国海警局の船2隻が一時領海侵入』
5日午前、沖縄県の尖閣諸島の沖合で、日本の領海に侵入した中国海警局 の船2隻は、14時間余り航行したあと、いずれも領海を出ました。海上保安本部は、再び領海に入らないよう警告と監視を続けています。第11管区海上保安本部によりますと、尖閣諸島の大正島の沖合で、中国海警局の船2隻が5日午前5時前から相次いで日本の領海に侵入しました。2隻は、14時間余り領海内を航行し、いずれも5日午後7時すぎに領海を出ました。海上保安本部は、再び領海に入らないよう警告と監視を続けています。尖閣諸島の沖合で中国海警局の船が日本の領海に侵入するのが確認されたのは、11月8日以来です。(2024/12/05 NHKウェブサイト

『尖閣周辺で中国船が領海侵入、今年41日目 海警局の 2隻が日本漁船の動きに合わせて航行 』
5日午前4時45分ごろ、尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の領海に中国海警局の船2隻が侵入した。第11管区海上保安本部(那覇)によると、中国当局の船が尖閣周辺で領海侵入したのは11月8日以来で、今年41日目。いずれも機関砲のようなものを搭載し、日本漁船の動きに合わせて航行。領海から出るよう巡視船が要求した。領海外側の接続水域では、機関砲のようなものを搭載した別の中国船2隻も確認された。尖閣周辺で中国当局の船が確認されるのは17日連続。(2024/12/05 産経新聞ウェブサイト

『中国船2隻が領海侵入 尖閣周辺、日本漁船追う』
第十一管区海上保安本部によると、5日午前4時47分ごろ、尖閣諸島 (石垣市)周辺で中国海警局の艦船2隻が相次いで領海侵入し、周辺を航行する日本漁船1隻に接近しようとする動きを見せた。2隻は午後7 時10分ごろ、相次いで領海外側の接続水域に出た。中国艦船が尖閣周辺 で領海侵入したのは11月8日以来で、今年41日目。2隻は「海警1105」「海警1303」で、いずれも機関砲らしき ものを搭載している。日本漁船には2人が乗船し、午後3時現在、大正島の南約9キロの領海内で操業している。海保は巡視船を漁船周辺に配備し、中国艦船2隻に 領海からの退去要求を行って漁船に近づかせないよう警戒。漁船の安全を確保している。接続水域では「海警1305」「海警1105」も確認された。2隻とも機関砲らしきものを搭載している。中国艦船が尖閣周辺で航行する のは17日連続。(2024/12/05 Yahoo!ニュース>八重山日報

一方、中国の英字新聞は下記のように報道している。

『日本漁船が釣魚島中国領海から駆逐される』
中国海警局(CCG)報道官によると、12月5日、釣魚島周辺の中国領海に不法侵入した日本の漁船をCCGは駆逐した。日本船は木曜日に釣魚島の中国領海に侵入した。CCGの船は合法的に取締りを行い、警告を発し、この船を海域から追い出した、と劉徳軍報道官は述べた。「釣魚島とその周辺の島々は中国固有の領土である。我々は日本側に対し、この海域でのすべての違法行為を直ちに中止するよう強く求める」と述べた。劉報道官はまた、釣魚島領海で定期的な法執行活動を行い、国家の領土主権と海洋権益を守るという中国の決意を再確認した。(2024/12/05 新華社ウェブ英語版

日本側の報道が、中国公船による日本の領海への侵入は日本の国家主権を侵害する行為であり日本政府は断固として国家主権を守り抜く、といったニュアンスを日本国民に伝えようとはしていないのに反して、中国側の報道は日本の漁船(日本の公船ではない)による中国の領海への侵入は中国の国家主権を侵害する行為であり中国政府は断固として国家主権を守り抜くと国際社会へ向けて発信している。

このように、日本政府も日本のメディアも中国政府機関による日本の国家主権への侵害行為(日本政府が尖閣諸島は日本固有の領土であるとの立場を取っている限り、尖閣周辺日本領海への中国公船の侵入は重大なる日本の主権侵害行為ということになる)が繰り返されていても、日本の主権侵害がなされているという危機的状況を国民や国際社会に向けて周知せしめる努力を欠いていると、やがては軍事侵攻といった下策を用いずとも、尖閣諸島は戦わずして中国固有の領土として国際社会に定着してしまうことは必至と言えよう。

    “征西府” 北村淳 Ph.D.

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