トランプ大統領がアメリカに媚び諂らわないカナダを併合すると威嚇

大統領に復帰するやいなやトランプ大統領は貿易赤字を是正し歳入を増やすためにアメリカにとって友好的な貿易相手国に対しても高率関税を課すとの脅しをかけ始めた。

日本は石破首相がアメリカに駆けつけて恥も外聞もかなぐり捨てた媚び諂い戦術を繰り出し、アメリカに対して多額の投資を行うとともにアメリカから天然ガスなどアメリカが輸出したがっている高額商品を輸入する約束をして、トランプの歓心を買おうとした。

日本国民の資産を湯水のごとくアメリカに流し込もうという国際公約に対して、国会からも主要メディアからも非難の声が上がらないところを見ると、「民族の誇り」や「国家の独立」といった形而上学的思考を持ち合わせない国会議員も主要メディア人も、トランプ大統領の第一撃を躱せたと考えホッとしているようにみなさざるを得ない。

腰抜けの日本と対象的なのはカナダだ。

言うまでもなくカナダとアメリカの親密度は日米のそれより遥かに強固であったし友好関係の歴史も長い。もっとも宗主国イギリスと干戈を交えて独立国となったアメリカと、アメリカ独立戦争に際して宗主国イギリスへ忠誠であったために北に逃れた人々が母体となり長らくイギリスの植民地国として留まっていたカナダとでは、国の成り立ちだけでなく国民性も大いに違う。

カナダ・ブリティッシュコロンビア州とアメリカ・ワシントン州の国境にある「ピース・アーチ」イギリスとアメリカが戦った1812年戦争が終結した1814年以降100年以上にわたってカナダとアメリカの間に戦争が起きなことを記念して1921年に建設された両国の平和を象徴する記念碑費。建設後も100年以上にわたって両国間は平和が続いてきた。

トランプ大統領に25%の高率関税を突きつけられ麻薬(フェンタニル)や不法移民がカナダ・アメリカ国境を越えないように徹底した対策を実施するように脅迫されたカナダでは、トランプ政権への対応を巡ってトルドー政権内で不協和音が生じ内閣が崩壊してしまった。次期首相が選出される3月上旬まで政権を継続するトルドー首相はトランプ大統領と会談したが、石破首相のような媚び諂い戦術は取らなかった。

トランプ大統領の恐喝的圧力に対して、トルドー首相はカナダからアメリカに流入しているフェンタニルや不法移民はアメリカ側がいうほど大量ではないとはしつつも対策を強化する方針を伝えたが、25%関税に対してはカナダとしては報復関税で応じる可能性を示唆した。

もともとトルドー首相のリベラルな姿勢を気に入っていなかったトランプ大統領は、石破首相のように媚び諂らわないトルドー首相とカナダに対して威嚇的暴言を吐き始めた。

かねてよりトランプ大統領はグリーンランド、パナマ運河、ガザ地区を獲得する計画を公言していたが、それと並行してカナダを51番目の州として米国に編入したいという願望を口にしだし、ソーシャルメディア上ではカナダを「51番目の州」と表現し、トルドー首相を「首相」ではなく「知事」と繰り返し呼び、アメリカとカナダとの貿易(アメリカが赤字)は「アメリカがカナダにくれてやっている補助金のようなもので、それなしにはカナダは生きながらえない」などとカナダの主権を馬鹿にし続けている。

トルドー首相は、2月8日に開催されたカナダのビジネス界と労働会のリーダーや公共政策の専門家たちとの会合において、トランプ大統領による「カナダをアメリカの51番目の州にする」という発言は冗談などではなく本意であると述べた。

「トランプ政権はカナダがどれだけたくさんの重要鉱物資源を保有しているかを知っているがゆえに、アメリカがカナダを51番目の州として併合すると言い続けているのであろう。……トランプ政権は我が国の資源や我が国が保有しているものを熟知しており、それらの恩恵を受けたいと熱望している。そのために最も簡単な方法の一つが、カナダを吸収してしまうことだと考えているのだ。そして、それは現実的なことなのである」とトルドー首相は語ったという。(オフレコのため公式記録はない。)

トランプ大統領の元最高補佐官であったスティーブ・バノン氏も、トルドー首相と同じく、カナダ併合に関するトランプ大統領の発言をカナダ人は真剣に受け止めるべきだとカナダのメディア(Global News)に語っている。

バノン氏によると「北極圏は「21世紀のグレートゲーム 」になり、カナダの「ソフトな下腹部」ともいえる軍事的弱点になると指摘した。すなわち、極地の氷冠が溶けつつあるために、北極海はロシアや中国のような国々にとってよりアクセスしやすくなっている。そのためカナダは脆弱な北方辺境を守るために、そしてひいてはアメリカを守るためにも、もっと防衛努力を強化しなければならないのである。そしてトランプ大統領としては、グリーンランドを併合し、パナマ運河を奪還し、カナダの北部国境を確保することで、北極海にアメリカによる“北半球支配”のための経済・軍事回廊を確立しようとしているのであろう。」

長年にわたる加米関係を根底から覆したトランプ大統領の脅しは、カナダの連邦政治を劇的に変化させつつあり、カナダ国民の間に愛国主義の新時代を到来させているようだ。国政選挙が2025年10月に迫り、各政党は愛国的で国家主権を守る用意があることをカナダ国民にアピールしようと躍起になっている。またトランプ大統領が暴言を吐くのに伴って、カナダ国内では、カナダ国旗の売れ行きがうなぎ登りとなっている。

カナダにありながらフランス植民地が母体となっているケベック州では伝統的にカナダからの分離独立の動きが根強く、断続的に州の分離独立を問う住民投票を求める動きが盛んであったが、トランプ大統領によるカナダへの脅迫が始まるや、分離独立を推進しようとする人々の数が減少している。そして、かつては「カナダ人ではなくケベック人としての誇りを持つ」とする州民多く、ケベック州でカナダ人であることを「とても誇りに思う」または「誇りに思う」と答えた人は、2024年12月には45%であったのが、2025年2月には58%へと13ポイント増加した。

トランプ政権は、隣国の友好国でありかつNATOの同盟国でもあるカナダすら、自国の利益を確保し新調するためには馬鹿にし嘲笑うことを厭わない。まして、かつて非人道的な原爆攻撃まで実施し属国化した日本など、どのようにみなしているのか?推して知るべしと言えよう。日本国民は心しておくべきであろう。

    “征西府” 北村淳 Ph.D.

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